【感想】データ・ドリブン社会の創発と戦略(安宅和人) 第11回目講義 慶應義塾大学

本日は、慶應義塾大学の安宅先生の
『データ・ドリブン社会の創発と戦略』の第11回目の振り返りになります。

 

第11回のリンクはこちら。↓
行動ログデータ 2

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本講義における気づき


1)分析のキモ
分析のキモは、イシューの明確化と軸出し。
何度も繰り返されているが、それほど重要。
また、分析ヘッジもしておく。
(イシューになるものの内、うまく比較できなかったときに備えて、
 別の分析ができるように設計しておく。)

2)ピックアップクエスチョンに対する回答
学生からの質問やコメントに対して、どう回答するかを考えながら見ると面白い。
何度もやっていると、安宅先生がどう反応するかをある程度予測できそうになる。
(「そもそも、質問がずれている」「自分で考えて答えを出す質問である」など)

3)膨大なログデータ
防災アプリだけで、2018年の段階で1億9000万件のレコードが存在する。
(非常に多い。公開して問題ないか、安宅先生も気にしていたが、すでに公開済みで問題ないそう。)
これらの情報から、意味のあるPOI(point of interest)などのユーザの特徴が分かる。

4)いつものパタンと異常
いつものパタンが分かるから、異常を発見できる。
例えば、バイリニアポアソン回帰モデルというものを使って、いつものパタンを抽出。
その後、いつものパタンと比較することで、異常を発見できる。

社会的な問題の解決として、例えば、隠れ避難所問題がある。
熊本震災において、自主設置の避難所が多発し、把握が難しいという問題があった。そういったものでも、いつものパタンと比較することで異常を検知して、そういった避難所を発見できる。

5)モデル化の効果
世の中の現象を、ある関数でモデル化できると定量的に議論できる。
例えば、雪に対する都市の頑強性は、フラジリティー曲線と一致する。
それによって、街の脆さを数値で議論できる。

6)情報をかけ合わせる
情報を掛け合わせることで、面白い洞察が得られる可能性がある。
例えば、Yahoo!JAPANアプリから得られる位置情報の解析においては、
Yahoo! JAPAN IDと紐付けることで、いつどこでどういった検索ワード(何に興味を持っているのか)を把握し、ユーザの状況がわかる。
例えば、北海道地震の際に、北海道地震のあった厚真町にいた人の検索クエリから、どういう状況なのか分かってくる。
新千歳空港」「道路交通状況」などから、観光客がこういったものを検索しているのではないかなどを考えることができる。

そういった意味ではYahoo!は、さまざまな情報を持っており、
情報の掛け算ができる企業であり、面白い取り組みができそう。

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#坪内先生の2回分の講義は一旦終了。
 課題の提出に関して受講生約100名のうち、48名が提出。
 一部でも、人間関係が導出できた方が35名。パーフェクトが8名。
 この数字は、今までの講義の中で、かなり良い数字だそう。
 一方で、「分析結果を見て感動した」などのコメントが無かったことを残念に思うコメントを残していました。
確かに、ログデータから人間関係が抽出できるのは、非常に面白いと思う一方で、目の前の課題を解くことに注力しすぎて、余裕がなかったんでしょうか。人間、心に隙がないと自らを戒めておきます。



以上になります。
残りは、12回、13回、14回の3回分になります。